稲川淳二 の怪談ナイト 怪談古希 鑑賞レポ
2017年9月15日 演劇
とある舞台を観に行ったときに、配られたパンフレットの中に稲川さんのどアップ顔のチラシが挟まっていた。25周年記念の全国ツアーとのこと。よくみると写真ではなく絵画、右の瞳から狼がこちらを真っ直ぐ見ている。こんなミステリアスなチラシと出会ってしまったら、私は吸い寄せられる他はない。
私よりもホラーを楽しむことに長けている(私がビビリ、ともいう)イトコを誘って日本青年館ホール(千駄ヶ谷)へ。場所を移して新しくなったとのことで、新しい建物独特の匂いを感じつつ館内を進む。けして広くはない階段による導線は賑やかすぎる公演には難しそうだ。
私もイトコも「怪談を聴きに来る客層」は密かに気になっていた。なにせこちらは怪談初心者なのだ。アニメの応援上映やライヴコンサートとはわけが違う。観客を観察し、雰囲気を察するのも同じ観客の努めであるのだから。(と、勝手に心得ている)
男女比は半々、年齢層も30代が中心だろうか。親子も見受けられたが全体として落ち着いた空気感で、我々も穏やかに開演を待つ。
怪宴(開演)の途端におどろおどろしいBGMと会場諸注意のアナウンス。「不可思議な目に遭っても責任は負いかねます」はきっとお決まりの文言。この時点で恐怖心が少し煽られる程度に私はチキンだ。だがどうだろう、あんなに暗く不気味に演出していたのに、アナウンスが終わりBGMが途切れると急に明るくなる舞台。『家に久しぶりのお客がきたよ』ってな具合で家の中からちょこちょこと歩いて出てくる稲川さん。くしゃっとした笑顔に団扇を持って、我々の「待ってたよー!!」「稲川さーん!!」の声援と拍手に両手をぶんぶん振って応じてくれる。笑顔いっぱいの挨拶。
「ありがとう、ありがとう」
「お陰様で25周年で」と
朗らかな導入に観ている側も笑みがこぼれる・・・。
会場の話、舞台セットのコンセプト(実際にある工房とそっくりにしたとか)の話、近所の様子はこんな感じで・・・とまるで世間話をしているかのような雰囲気のところ
「で、その人と仲良くなってきた頃です。『稲川さんになら話してもいいかなぁ』って言い出したんですよ。人って不思議なもんでね、自分しか知らないことって、誰かに打ち明けたくなるもんなんです」
気づいた頃には会場は暗く、スポットライトが不気味に稲川さんを照らしていた。なんて美しい導入だろう。こちらも聴き入る体勢が自然と出来上がっていた。知らず知らずのうちに稲川ワールドに引き込まれているなんて。序盤から驚きと感心と、静かな興奮をもって魅入ったおよそ2時間の公演は濃密で刺激的だった。
怪談が一段落したとき、魔法が解けたような感すらあった。
なんだか名残惜しくなる。
結びにまたくしゃくしゃの笑顔で手を振って客席に挨拶する姿は
出発する孫一家を見送るお爺さんのようですらある。
車座になって話を聴いていた時間が、終わったのだ。
怪談といえば真夏が定番かもしれないが、
暑さが落ち着いて秋の虫が鳴く9月の今頃のほうがそれっぽい。
そんな雰囲気MAXな中、ホラー映画なんて予告編すら見られないこんなチキンな私でも、稲川さんの怪談はがっつりしっかり聴き入ってしまったし、ぎょっとするような心霊写真も興味津々で見た。
「怖がってるのは我々だから」
稲川さんは言う。
恐怖心だけをもっていれば、ただ怖いだけ。だが怪談もただ恐ろしいものばかりでなく、登場人物の考えや行動、シュチュエーションも様々だった。
「怖いだけ」ではない「面白さ」があの話術に込められていた。だから聴き入ったし、また行きたいな、と思うのだろう。
怪談の合間「こなきもち」の話もあってこれもほっこりしたので
お土産としてしっかり買って帰った。
私よりもホラーを楽しむことに長けている(私がビビリ、ともいう)イトコを誘って日本青年館ホール(千駄ヶ谷)へ。場所を移して新しくなったとのことで、新しい建物独特の匂いを感じつつ館内を進む。けして広くはない階段による導線は賑やかすぎる公演には難しそうだ。
私もイトコも「怪談を聴きに来る客層」は密かに気になっていた。なにせこちらは怪談初心者なのだ。アニメの応援上映やライヴコンサートとはわけが違う。観客を観察し、雰囲気を察するのも同じ観客の努めであるのだから。(と、勝手に心得ている)
男女比は半々、年齢層も30代が中心だろうか。親子も見受けられたが全体として落ち着いた空気感で、我々も穏やかに開演を待つ。
怪宴(開演)の途端におどろおどろしいBGMと会場諸注意のアナウンス。「不可思議な目に遭っても責任は負いかねます」はきっとお決まりの文言。この時点で恐怖心が少し煽られる程度に私はチキンだ。だがどうだろう、あんなに暗く不気味に演出していたのに、アナウンスが終わりBGMが途切れると急に明るくなる舞台。『家に久しぶりのお客がきたよ』ってな具合で家の中からちょこちょこと歩いて出てくる稲川さん。くしゃっとした笑顔に団扇を持って、我々の「待ってたよー!!」「稲川さーん!!」の声援と拍手に両手をぶんぶん振って応じてくれる。笑顔いっぱいの挨拶。
「ありがとう、ありがとう」
「お陰様で25周年で」と
朗らかな導入に観ている側も笑みがこぼれる・・・。
会場の話、舞台セットのコンセプト(実際にある工房とそっくりにしたとか)の話、近所の様子はこんな感じで・・・とまるで世間話をしているかのような雰囲気のところ
「で、その人と仲良くなってきた頃です。『稲川さんになら話してもいいかなぁ』って言い出したんですよ。人って不思議なもんでね、自分しか知らないことって、誰かに打ち明けたくなるもんなんです」
気づいた頃には会場は暗く、スポットライトが不気味に稲川さんを照らしていた。なんて美しい導入だろう。こちらも聴き入る体勢が自然と出来上がっていた。知らず知らずのうちに稲川ワールドに引き込まれているなんて。序盤から驚きと感心と、静かな興奮をもって魅入ったおよそ2時間の公演は濃密で刺激的だった。
怪談が一段落したとき、魔法が解けたような感すらあった。
なんだか名残惜しくなる。
結びにまたくしゃくしゃの笑顔で手を振って客席に挨拶する姿は
出発する孫一家を見送るお爺さんのようですらある。
車座になって話を聴いていた時間が、終わったのだ。
怪談といえば真夏が定番かもしれないが、
暑さが落ち着いて秋の虫が鳴く9月の今頃のほうがそれっぽい。
そんな雰囲気MAXな中、ホラー映画なんて予告編すら見られないこんなチキンな私でも、稲川さんの怪談はがっつりしっかり聴き入ってしまったし、ぎょっとするような心霊写真も興味津々で見た。
「怖がってるのは我々だから」
稲川さんは言う。
恐怖心だけをもっていれば、ただ怖いだけ。だが怪談もただ恐ろしいものばかりでなく、登場人物の考えや行動、シュチュエーションも様々だった。
「怖いだけ」ではない「面白さ」があの話術に込められていた。だから聴き入ったし、また行きたいな、と思うのだろう。
怪談の合間「こなきもち」の話もあってこれもほっこりしたので
お土産としてしっかり買って帰った。
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